ひとりで来ても、誰かとつながれる場所 Bilderbuch Café~ゆるつなメンバーの地域活動取材記事Vol.2~

中央区役所地下1階「ツキチカ!」で毎月第3火曜日に開催されている「Bilderbuch Café(ビルダーブーフカフェ)」。

絵本の読み聞かせと、その月のテーマに合わせて選ばれた銘菓を楽しめるこのカフェには、毎月さまざまな人が集います。

私が参加した5月のテーマは「母」。

『ぼくにげちゃうよ』と『母ぐま子ぐま』の読み聞かせに耳を傾けながら、参加者の皆さんは資生堂の花椿ビスケットを味わい、思い思いの時間を過ごしていました。

今回は、そんなBilderbuch Caféを運営する皆さんに、この場所に込めた想いや活動の魅力についてお話を伺いました。

ひとりで来ても、心地よく過ごせる場所に

――絵本を聞きながらお菓子を味わう時間が、とても心地よく感じました。このカフェならではの魅力はどんなところにあると思いますか。

参加者の中にはお一人で来られる方も多いのですが、絵本があることで自然にその場で過ごせるんです。

お茶を飲みながら絵本を聞いているだけでも楽しめますし、無理に誰かと話さなくても大丈夫です。

逆に、お茶だけの交流会だと少し参加しづらい方もいるかもしれません。

だからこそ、Bilderbuch Caféでは最初から「絵本の読み聞かせ」と「銘菓」を組み合わせた形にしようと考えていました。

絵本だけでもなく、お茶だけでもなく、その両方があることで、一人でも気軽に参加しやすい空間になっているのかなと思っています。

「やってみよう」が形になった場所

――Bilderbuch Caféが始まったきっかけを教えてください。

私たちは、中央区の図書館での読み聞かせボランティア募集をきっかけに出会った同期5人です。

社会福祉協議会から「ツキチカ!を活用して何かできませんか」と声をかけていただいたことが、この活動のきっかけでした。

その時に、三辻さん(現在 Bilderbuch Café 代表)から「大人向けの読み聞かせをやってみない?」という話が出たんです。

絵本の読み聞かせというと子ども向けのものが多いですが、大人が気軽に参加できる場は意外と多くありません。

それなら、自分たちでそんな場所をつくってみようと思ったのが始まりです。

読み手が変われば、絵本の世界も変わる

――活動を続ける中で、皆さんが大切にしていることを教えてください。

それぞれの個性を大切にすることですね。

以前は一か月ごとに担当を決めて、その月の内容は担当者に任せていました。今は二人体制になりましたが、それでも細かく内容を決めることはありません。

テーマに合わせてどんな絵本を選ぶのか、どんな伝え方をするのか。

それぞれの個性が出るから面白いんです。

図書館での活動とはまた違う形で、自分たちのやりたい読み聞かせに挑戦できることが、この活動を続けるモチベーションになっています。

少しずつ生まれていく、人と人とのつながり

――活動を続ける中で、うれしかったことや印象に残っている出来事はありますか。

ありがたいことに、毎月の開催を楽しみに来てくださる方が増えてきました。

最初は一人で参加されていた方同士が顔見知りになり、このカフェで会うことを楽しみに通ってくださっている方もいらっしゃいます。

中には、このカフェで知り合ったことをきっかけに、別の日に一緒にランチへ出かけるようになった方もいらっしゃるんですよ。

印象に残っているのは、最初の頃はほとんどお話をされなかった男性の参加者の方です。

何度か通ってくださるうちに少しずつ会話をするようになって、実は今日も、ご自身で出版された本を持ってきて見せてくださったんです。

無理に交流を促しているわけではないのですが、こうして少しずつ人とのつながりが生まれていくのを見ると、本当にうれしいですね。

「今日行こうかな」で来られる場所に

――誰でも気軽に参加できる雰囲気も、このカフェの魅力だと感じました。運営するうえで大切にしていることはありますか。

予約制にしないことですね。

運営する側としては、参加人数が事前に分かった方が準備はしやすいんです。お菓子をどれくらい用意するかは毎回悩みますし、多すぎても少なすぎても困ります。

それでも予約制にしていないのは、「今日は行ってみようかな」と思った時に気軽に来てほしいからです。

特にご高齢の方は、その日の体調や天気によって予定が変わることもあります。

予約をすると、「行かなきゃいけない」と負担に感じてしまうこともありますよね。

だからこそ、その日の気分でふらっと立ち寄れる場所でありたいと思っています。

来たいと思った時に来て、帰りたい時に帰る。そんな気軽さも、この場所の大切な魅力のひとつだと思っています。

読み聞かせの輪を、少しずつ

――最後に、これからの活動について教えてください。

Bilderbuch Caféを続けていくことはもちろんですが、こうした場を少しずつ広げていけたらと思っています。

親子連れからシニアの方まで、幅広い世代に参加していただけるので、まずは気軽にカフェに足を運んでいただいて、読み聞かせの楽しさを知ってもらえたらうれしいですね。

取材をしていて印象的だったのは、運営メンバーの皆さんのチームワークの良さでした。

それぞれの個性を大切にしながらも、「より良い場にしたい」という想いを共有していることが、インタビューの端々から伝わってきました。

会場に足を運んでみると、その想いは机の配置やホワイトボードの装飾にも表れていました。参加者が心地よく過ごせるように、一つひとつ丁寧に準備されていることが感じられます。

そしてもうひとつ印象に残ったのが、参加者の皆さんの自然な距離感でした。

無理に会話をするわけでもなく、一人でいても居心地が悪くない。けれど、気が付くと隣の人と言葉を交わしている。

そんな穏やかな空気が、このカフェには流れていました。

絵本と銘菓を楽しむ時間をきっかけに、人と人とのつながりが生まれるBilderbuch Café。

ぜひ、一度足を運んでみてください。

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