中央区・佃のシニアセンター2階で開催されている「にこにこ食堂」を訪れました。
にこにこ食堂は、中央区で最初に生まれた子ども食堂で、今年で10年目を迎えます。
子ども食堂を軸にしながら、「食育」と「地域交流」を大切に、地域の居場所づくりを続けています。
代表の小松さん、スタッフの皆さまにお話を伺いました。

食事を通じて育んでいること
取材した日のメニューは、「春キャベツとサーモンのメンチカツ、シラスのバジルパスタ、エクレア、バナナ」
旬であることや、子どもたちが喜ぶことにこだわった食事は、どれも本当においしく、やさしい味で、食べるとほっとするようなごはんでした。
子どもたちは、「いただきます」「ごちそうさま」
きちんと挨拶をすることも大切にしています。
「ここはレストランではないし、子どもたちもお客さんではない」
挨拶を交わすことで、コミュニケーションが生まれます。
顔を覚え、変化に気づくことができます。
「大きくなったね」「これ食べられるようになったんだね」
そんな会話を重ねながら、地域のみんなで子育てを見守っているそうです。
まるで大きな親戚のような関係でした。

続けたからこそ、見えてきたもの
にこにこ食堂は、利用者の間口を広く開いています。その一方で、活動当初、代表の小松さんたちは悩んだそう。
「本当に必要な子どもたちに届いているのだろうか」
その葛藤はずっとあったといいます。
けれど、活動を続け、何度も顔を合わせ、コミュニケーションを重ねるうちに、子どもたちの本当の状況や家庭環境、親御さんの悩みが少しずつ見えてくるようになったそうです。
一度きりでは見えないものがあります。食事を配るだけでは届かないものがあります。
だからこそ、「続けること」に意味があるのだと感じました。
今では、にこにこ食堂で培った運営ノウハウを引き継ぎながら、勝どきなど新たな地域でも次の担い手たちが活動を始めているそうです。
子どもたちが担い手になっていく
にこにこ食堂は、男女共同参画講座を卒業した4人のメンバーで立ち上げられました。
今では、お手伝いしてくださる地域の方も増えています。
取材に訪れた日、受付を担当していたのは、なんと小学4年生の男の子でした。
案内をして、配膳をして、呼び込みまでしています。
そして、その姿に憧れている園児たちもいて、お兄さんの真似をして呼び込みをしているそう。
子どもたちは自然に役割を受け取り、次の担い手へと育っていきます。
地域の未来が、確かにここで育っていました。
取材を通しての感想〜「また来てね!」の一言に詰まったもの〜
取材前、私はどこかで「子ども食堂」という言葉に、支援・福祉の場というイメージを持っていました。けれど実際に足を運んでみると、そこにあったのはもっとあたたかく、もっと生活に根ざした風景でした。
扉を開けた瞬間に感じたのは、「いらっしゃい」よりも「おかえり」に近い空気です。
代表の小松さんは、「メディアなどでみる中央区のキラキラした面ではなく、街を素手で触っているような感覚がある」と話してくださいました。
食事をいただいていると、小さな女の子が声をかけてくれました。
「おいしいでしょ?」どこか誇らしげにそう話してくれました。
帰り際には、「また会おうね!」
と笑顔で手を振ってくれました。
たったその一言なのに、不思議と胸に残っています。
きっと、にこにこ食堂が作っているのは、食事だけではありません。
誰かが誰かを気にかけること。
地域で一緒に育っていくこと。
「ここにいていい」と思える関係性。
そんな、人と人とのあたたかな循環そのものなのだと思いました。


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